富士日誌

雁堤を横切って実相寺へ。実相寺の左に入り地元のサイクリストならみんな通るんだろうと思われる道を初めてゆく。左手に富士川と茶畑、みかんの木々を見下ろしながら道を登り、やがて木立の中へ。

しばらく登ると道が二手に分かれているいたので、左の下りへ入ろうと私が判断。ぐんぐん下って、下りきったところで川に出る。下りがあるから登るのが楽しいんだよなぁ、なんて爽快な気分になっているところに「お前、道はあってたんだろうなぁ。富士宮は標高が高いんだぞ。」と相方。少々途方に暮れる。

以前富士宮〜富士・EZナビサイクリングで走った道に出る。第2東名の橋桁を見上げながら、黙々とゆるやかに登る。前回感激した貫戸地区は今日も静かでのどかだ。畑の香水を嗅ぎながら登る。

その後もただただ無心で走る。相方のモールトンは調子が良いみたい。

雁堤で終わりかけのコスモスと。

実相寺の横を入り、岩本山を登る。

途中で富士宮第三中学校の近くでお好み焼きやさんを発見。一度は通り過ぎるも家を出てから一度も水分補給をしてないし、小腹も空いてきたので寄って行くことにする。暖簾を閉まって水まきをしようとしていたおばさんが「洗濯物を店に取り込んじゃったけど、良かったら入りな入りな」と入れてくれた。

古い昔ながらの駄菓子屋で、お好み焼きと焼そばのお店。

おばさんは私達が通り過ぎたのを見ていて「一人男の子が走っていったと思ったら、後ろからかわいこちゃんが追いかけて行った。」と言う。「かわいこちゃん」に気を良くする私。単純だなぁ。

イカ肉入りお好み焼きと、イカ肉入り焼そばを1つずつ頼む。焼そばは、富士宮が焼そばで町興しするずっと前からやっているんだという。昔ながらの素朴なお好み焼きとこれまたシンプルな焼そばをいただく。いぃなこの店。おばちゃんが底抜けに明るくてよく喋る。ホントによく喋る。同じ事を何度も何度も楽しそうに繰り返す。店を出た相方が「お前の40年後を見たようだ。」と言う。また寄ろう。

店を出ると日も傾きはじめ、富士山が色付きはじめていた。この季節の夕暮れ時の空が一番好き。いくら眺めていても飽きない。

コンビニで飲料を買って店を出ると、富士山頂あたりが綺麗なピンク色に輝いていた。この一瞬、私のカメラを用意していては間に合わないと思い、すかさず相方に早くデジカメで富士山を撮るように促す。案の定、1分と経たずに光は消えてしまった。GR1vで撮れなかったのが残念。だけど、今日の天気ならきっと二度焼けが綺麗に見れるだろうと思い、もっと開けたところへ出ようと先を急ぐ。「あのね、この後二度焼けするよ。」と得意気に話す私。

しばらく潤井川沿いを走る。途中で田貫湖の方向は右前方だろうと思い、潤井川を離れ迷い込んだ、小屋敷地区の景色がとても印象的だった。石を積み上げた畦、古い蔵、鈴なりに赤い実をつけた柿の木、ほんのりと紅く光る富士山。ここで立ち止まっていつまでもシャッターを切りたいのをグッとこらえて進む。

この季節の夕暮れ時の空が一番好き。

そして、午後5時。車通りのある道に出たところで、携帯電話を取り出してEZナビで現在地を把握する。富士宮市馬見塚。地名の由来は、集めた馬を源頼朝が見分した所だから。［富士宮市ホームページより］なるほど。

ここでタイムオーバー、後は下って家路につく。モールトンに付けたブルホーンバーの調子はなかなか良いみたい。やっぱり出掛けて良かっただろう、仕事・仕事では脳みそが腐る、とは相方の弁。ほんとにその通りだなぁ。