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2007年07月29日

富士登山2007—須走口1日目—

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毎年恒例の富士登山。例年は富士宮口を夜行登山してきましたが、体力的・精神的に厳しいという意見が多数の中、今年は趣向を変えて須走口を1泊2日・山小屋泊することに。

今年の登山メンバーは、「富士山に登り隊(仮称)」の常連メンバー6名と初登頂を目指す若者新人1名。20代後半2名・30代前半4名・30代後半1名と、決して年寄りではないけれど、いうほど若くもないメンバー達。
「富士山に 登らぬ馬鹿に 二度登る馬鹿」
どう考えても大馬鹿野郎の面々です。

富士山頂の狛犬

富士山に登るには、富士宮口・御殿場口・須走口・河口湖口の4つの登山道がありますが、中でも富士宮口は、他の登山道と比べ最も高い標高2,400mから直線的に登る最短コース。その分高山病になりやすく、傾斜もきついためハード。当初、河口湖口を登ろうと考えていたものの、最も人気のあるこのルートはツアー客も多く混雑が予想されるため、何度も富士登山を経験しているメンバーには物足りないだろうと却下することに。というわけで、今年の富士登山は須走口に決定。ちなみに、標高1,440mから登り始める山小屋の数も少ない御殿場口は、いつかきっとチャレンジしようと思う超ロングコース。

須走口新五合目 名物きのこ料理の昼食

須走口五合目の駐車場の収容台数は200台。混雑回避と環境への負荷を考え、麓にある駐車場に車を残し、できるだけ台数を減らして出発。ふじあざみラインを登ると、間もなく五合目に到着。まずは車を止めてここで昼食をとる。高山病予防のためには、すぐに登り始めず五合目で少なくとも1時間は滞在して高所順応するのが大切なポイント。

東口本宮冨士浅間神社ふじあざみライン入口にある東口本宮冨士浅間神社。富士山東口登山道の守護神。祭神は木花咲耶姫命。802(延暦21)年の富士山大噴火の際に鎮火の斎事を行なった神社。

昼食は「東富士山荘」で名物きのこうどん(900円)を食べる。これがとっても美味い!富士宮口五合目のレストランとは全く比べものにならず、このうどんのためにもう一度登っても良いかもと思えるほど気に入る。肝心のうどんの写真がないのは、相変わらず食べるのに夢中になってしまったから。

お腹も満足したところで、濃い霧の中、身支度を整え登山の準備を進める。と、車内に異臭。個人的には苦手な香り。これはまさか、ラッキョウでは。しかし、何故らっきょう?! その正体はメンバーのひとり、kaiくんの奥さんが「みんなで食べて」と持たせてくれたお弁当の中にあった、汁ごとビニール袋に入れられたラッキョウだった。ビニール袋が破損してラッキョウの汁がこぼれたらしい。彼の荷物はラッキョウ汁まみれである。後になって、どうして汁ごと入れたのか彼は電話で問い質したところ、「その方が傷みにくいと思ったの」というのが理由らしい。彼の大好物である、しかも自分で漬けたラッキョウを持たせてあげるところが、優しい彼女らしくて微笑ましい。次回は汁が漏れないように工夫することが彼女の当面の課題(笑)。

13:40 濃霧の中、須走口新五合目出発(標高2000m)

2007年7月29日(日)午後1時40分、濃い霧の中、予定より40分遅れて登山開始。これから本日の宿泊地である、須走口八合目の江戸屋まで約5〜6時間で登る予定。

富士山須走口五合目
富士山須走口五合目。登り口では一目で「これから登る人」と「山から下りてきた人」がわかる。これから登る人(左手前)の格好はまだ綺麗だけど、降りてきた人はズタボロ。もちろん足取りも全然違う。

山小屋を抜けて続く石段の道をしばらく行くと古御獄神社。登山道は神社の右手からはじまり、六合目までは樹林帯を登ることになる。高山植物や野鳥の鳴き声を楽しみながら緑の中を歩くのが、この須走口登山道の大きな特徴で、他の3登山道では見られない。「なんだか富士山じゃないみたいで楽しい」と「登り隊」。

須走口(五合目〜新六合目)五合目の山小屋から、登山道起点となる古御獄神社まで石段が続く。
須走口(五合目〜新六合目)14:00 古御獄神社の脇。

須走口(五合目〜新六合目)
霧も晴れ、気温が上がってくる。レインウェアのズボンとスパッツを履いたことを少し後悔しはじめる面々。

須走口(五合目〜新六合目)緑のトンネルへ。

須走口(五合目〜新六合目)
野鳥が沢山いた。

須走口(五合目〜新六合目)山の駄菓子屋。リュックにお菓子をカラビナで吊り下げて歩く。食べたくなったらここから勝手に取って食べる。途中、記念撮影をお願いした人とかにも、お礼に好きなものを1つ取ってもらう。
須走口(五合目〜新六合目)14:35 歩きはじめてからもうすぐ1時間。まだ元気。

須走口(五合目〜新六合目)
背の高い樹木が少なくなり、低木になると、視界が広がる。

須走口(五合目〜新六合目)向こうに見えるのが下山道。須走口では、登山道と下山道が分かれている。


15:10 新六合目 長田山荘(標高2460m)

富士山須走口新六合目、長田山荘
新六合目、長田山荘。

新五合目を出発して歩き続けること1時間30分、新六合目に到着。
登った標高460m。

ここまでが長かった!いつもの富士宮口では、新五合目から新六合目まではそれほど距離もないため、今日もそのような感覚でいたのだけれど、いつまでたっても山小屋が見えない。今回は初めての登山道ということもあり、富士山の詳細地図を人数分コピーしておいたのに、それを車に忘れてきた私。らしいといえば、らしい。そんなわけで、「新」六合目ってことは、次は「七合目か?それとも、本六合目か?」「いや、元祖かもしれんぞ」などと全くルートがよめないまま進まなくてはならない。

とりあえず山小屋で、次は何合目なのかと、どれくらい時間がかかるかを聞きながら進む。すっかり富士登山に慣れ切ってしまっているメンバーには、これはこれで新鮮なはず、と自分のミスを良いように解釈することにした。

ここで大休止。件のラッキョウ愛妻弁当のおにぎりと唐揚げをみんなで有り難くいただく。たまらなく美味しい。やっぱり山ではおにぎりと唐揚げだよね。こんなに沢山のおにぎりをありがとう!

いざ出発、と歩き出したところで雨がポツリポツリ。これは本降りになると思われたので、レインウェアを着てザックカバーを装着し雨支度を整える。準備も終わり歩き始めたら、雨はもう止んでいて今度は暑い。レインウェアを着れば雨は止むし、脱げば降るしの曖昧な天気がこの先しばらく続くことになる。

須走口(新六合目〜六合目)
16:09 次の山小屋が見えてきた。間もなく六合目、瀬戸館。

クルマユリ
クルマユリ

16:15 六合目 瀬戸館(標高2700m)

新六合目を出発してから約45分、六合目に到着。
登った標高240m、累計700m。
歩きはじめてからもう2時間半も歩いたのに、まだ六合目だなんて気が遠くなる。目標では19時までに八合目の山小屋に到着したいと考えていたのだけれど、このまま行くと難しいかもしれないという不安も少しよぎる。(後で地図を見てわかることなのだが、ここで本日の行程の半分まで来ている)

富士山 須走口六合目 瀬戸館
須走口の山小屋はこんなに空いている。これならゆっくりと休める。

六合目 瀬戸館からの眺望
六合目から先を望む。

なだらかな道をゆっくりと標高を上げてきたせいか、息もそれほど切れていないし苦しくない。大休止はとらず、水分とエネルギーを補給して次の山小屋を目指す。六合目を出発してから間もなくすると、緑も少なくなってきて溶岩や黒砂が見え始め、傾斜も増してくる。この辺りから段々と苦しくなってくる。しばらく歩いては立ち休憩をして呼吸を整え、ゆっくり登る。

須走口(六合目〜七合目)登山の安全を祈願しているのか、金剛杖についている鈴が祀られている。このような風景を途中いくつか見ることができる。

須走口(六合目〜七合目)
16:50 再び天気が崩れはじめた。霧で毛先が水滴だらけに。なかなかお洒落だぞ。

須走口(六合目〜七合目)
名称不明。ご存知の方、教えてください。

須走口(六合目〜七合目)
七合目まで、あともうちょっと。ここまで来ると、この距離も少しずつ辛くなってくる。

17:25 七合目 大陽館(標高2960m)

六合目を出発してから約70分、ようやく七合目に到着。
登った標高260m、累計960m。

私が到着すると同時に、先行していた相方が慌てた様子でやってきて申し訳なさそうに、買ったばかりのオイル充填式携帯カイロ「ハンディ ウォーマー ミニ」を失くしたという。以前より毎冬になると私が欲しがっていたオイル充填式カイロ。それを今回の富士登山を機に相方が買ってきてくれたわけだけれど、私が使う前にまさか自分で早速失くすとは、彼にしてみれば大失態だったようで、悔やんでも悔やみきれないらしい。まぁ、いいよ。一番最初はキミが使ってみてくれとお願いしたのは私だし、責任の一端は私にもあるのだから。

怒ってない?怒ってるでしょう?と何度も聞くけど、本当に怒ってないのだ。だって、ここは富士山だから。富士山に登るとなんだか心が豊かになれる。薄い空気の中で一生懸命に呼吸をしていると、あぁ、生きてるんだなぁ、と思える。それだけで幸せじゃないか、何さカイロのひとつやふたつ。そんなの働いてまた買えばいいのさ、元気でいれば何でも出来るのだ。これが私の一種の高山病のひとつかもしれない。実のところ今は怒る気力がないだけで、問題は下山後なんだなぁ。
(後にカイロはリュックの中で発見。ことなきを得る。)

大陽館の「予約なしでも宿泊出来ます。素泊まり6,300円」の黄色い看板を恨めしく思いながら休憩をとる。このペースなら19:30頃には八合目に到着出来るかもしれない。あと少しだ。

富士山 須走口七合目 大陽館
七合目 大陽館

18:20 本七合目 見晴館(標高3250m)

七合目を出発してから約50分、本七合目に到着。
登った標高290m、累計1250m。
山小屋で尋ねると、ここから次の八合目までは20〜30分で到着出来るとのこと。

本日の目的地である八合目を目前にして、いよいよ雨脚が強まってきた。体力・装備など諸々の事情でメンバー間での荷物の交換が行われる。見晴館の中には、既に今日の行程を終えてくつろいでいる他の登山客が窓越しに見える。私達は雨の中、濡れた手で握り飯を頬張りながら最後のエネルギー補給。後で山小屋で会うことを約束して、先行組が出発。

富士山 須走口本七合目 見晴館見晴館。晴れていれば、その名の通り雄大な眺望が楽しめるんだろうけど、生憎の天気。

富士山 須走口本七合目 見晴館
疲労困憊中。あともう少し、30分だ。

19:00 八合目 江戸屋(標高3350m)【宿泊】

本七合目を出発してから約30分、五合目を出発してから約5時間20分、無事本日の宿泊地である八合目 江戸屋に到着。登った標高100m、累計1350m。

到着後、休む間もなく濡れたレインウェアや靴を所定のビニール袋に入れてチェックイン作業。1泊2食付で7,500円(平日料金)。布団1枚に2人で寝るような環境で、当然風呂も洗面所もないし、食事だって豪勢とは言えないかもしれない。この値段を高いととるか安いととるかは個人の価値観にも寄るけれど、ここは富士山なのだ。いつもいつも夜行登山をしてきたメンバーにとって、山小屋に泊まれるのはちょっとばかし嬉しいに違いない。

今夜の寝床に案内される。念のため10名で予約を入れていたからか、それとも平日で空いていたからかどうかはわからないけど、10名分の場所を7名で使用して良いとのこと。布団約5枚分に男5名・女2名の合計7名で寝る勘定となる。他の布団では、既にたくさんの登山客が眠りについていた。

富士山 須走口八合目 江戸屋のベッド
山小屋の中。巨大な二段ベッドがいくつも並んでいる構造。

富士山 須走口八合目 江戸屋のベッド
こちらが上の段。敷き布団1枚に枕が2つ並べられ、掛け布団は敷き布団1枚あたり1枚、プラスその上にもう1枚横にしてかけられている。通常枕1つが1人分。

とりあえず荷物を押し込んだら、座敷へ戻りお待ちかねの食事。夕食は山小屋定番のカレーライス。kaiくんは愛妻お手製のらっきょうを添えてボリボリとやっていた。それぞれ思い思いにビールや甘酒を注文。持参していた鶏ナンコツをつまみに、仕事の話しをしている。富士山に来てまで仕事の話しかいと呆れながらも、こちらでは最近習いはじめたというフラダンスの話し。胸にココナッツ付けて踊るんだって、南国だねぇ。ここは全く寒いよ。

明日のご来光は絶望的だけど、山の天気はわからない。ほんのわずかな期待を胸に、雨で濡れてしまった部分にホッカイロを貼付けてインナースパッツを履き、完全防寒で就寝。

富士山 須走口八合目 江戸屋の夕食カレー

2日目へ続く

13:40 新五合目(標高2000m)
 ↓       [1時間30分/+460m]
15:10 新六合目 長田山荘(標高2460m)
 ↓       [約45分/+240m]
16:15 六合目 瀬戸館(標高2700m)
 ↓       [約1時間10分/+260m]
17:25 七合目 大陽館(標高2960m)
 ↓       [約50分/+290m]
18:20 本七合目 見晴館(標高3250m)
 ↓       [約30分/+100m]
19:00 八合目 江戸屋(標高3350m)【宿泊】

◎1日目の歩行時間:約5時間20分(標高2000m→3350m)

Posted at 2007年07月29日 22:01 |   |  Comments (4) | 
Category [ 富士山 ]

Comments (4)

富士山足で登ったことないんですよね^^;
自転車で五合目までならあるんですけど・・・
でもこのレポートを読んで、実際に登るときのイメージが湧きました。

ayakoさん >>
レス遅くなってごめんなさいー!!
あのですね、私の想像ではハードさでいうと
自転車で五合目>五合目から富士登山(勿論徒歩)
だと思うのですが…(笑)

せっかくだから、海抜0mの田子の浦から五合目まで自転車で行って、その足で頂上まで…なんてことをやってのけてみて下さい。ayakoさんなら出来そうな気がする(笑)

富士山の高山植物の写真の名前は

フジハタザオです。

須走口新六合目長田山荘スタッフより

富士山名前不詳の高山植物は

フジハタザオと言います。

須走口新六合目 長田山荘スタッフより

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